凪良ゆう「流浪の月」読んだ感想

みなさん、こんにちは!ななとまです。関東は梅雨明けが発表され、ここ最近どんどん暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか?今回は凪良ゆうさんが書いた「流浪の月」を読んだ感想をご紹介します。ネタバレが嫌な方はあらすじまでお読みください。また、私個人の感想を書いているので、小説の捉え方が違う場合は一個人の意見として温かい目で読んでいただけると幸いです。

あらすじ

2020年本屋大賞受賞
第41回(2020年)吉川英治文学新人賞候補作
せっかくの善意をわたしは捨てていく。
そんなものでは、わたしはかけらも救われない。
愛ではない。けれどそばにいたい。
新しい人間関係への旅立ちを描き、
実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人間を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

主な登場人物

家内 更紗(主人公):15年前に誘拐事件の被害者。
佐伯 文:誘拐事件の犯人とされる男。現在はひっそりとカフェを経営してる。
中瀬 亮:更紗の彼氏。社会人
谷 あゆみ:文の恋人。

※ここから先はネタバレを含むので、ネタバレが嫌な方は読み飛ばしてください。

起:更紗と文の出会い

更紗が8歳のころ、父親は病気で亡くなり、母親は別の男性と出て行ったきり戻らなかった。残された更紗は叔母の家にお世話になる。今まで父親と母親がいて温かく幸せな生活は一変した、自分の今までの当たり前の生活が周りからしたらおかしな家族と思われていた。周りに合わせるように自分を殺していい子を演じていた更紗だったが、ある日この生活から逃げ出したくなる。どこかに逃げたいけど、でもどこにも逃げる場所がない。

いつものように遊んでいた公園で雨が降っていても、更紗は叔母の家に帰りたくなくて雨の中ベンチに座っている。そんな更紗に当時大学生だった文が傘を差し出して家に来ないか誘われた。

文の家が叔母の家にいた時より自分が自分でいられる場所だと気づく更紗。文はどこか更紗の父親に似ていて、なぜか安心した。いつまでもこの生活が続けばいいと思っていた。

いつまでもこの幸せが続くと思っていたが、ある日、2人で動物園へパンダを見に行ったがそこで文は誘拐犯として逮捕され、更紗は保護された。

承:更紗と文の再会

あの誘拐事件から15年。更紗は彼氏の亮と同棲していて、ファミレスのバイトに明け暮れる日々。

そんなある日、バイトの先輩と近くのカフェ「calico」に足を運んだ。そこはなんと、文が経営してる小さなカフェだった。夜の8時からやっている小さなカフェ。15年前と変わっていない文を目にした更紗は、いけないと分かっていながらそのカフェに足繁く通うようになる。

でも文は更紗を忘れているか気付いていない様子。それに対してどこか落ち込む更紗。急にカフェに通い出す更紗を怪しんだ彼氏の亮は、更紗を問い詰める。そして、更紗に暴力を振るうようになり、ついには怖くなって逃げ出した更紗は気づいたら「calico」に向かっていた。

文に怪我の手当てをしてもらいながら、更紗は15年前のことを謝る。あの時自分が真実を話していたら、文は誘拐犯に仕立て上げられなかったかもしれない。自分のせいで文が負わなくても良い罪を負ってしまった。文が死ねというなら死ぬと話す更紗。でも文は昔と変わらず、ただそこにいてくれた。

転:今も変わらずレッテルを貼られ続ける2人

彼氏の亮とこのまま一緒に暮らしていたら自分が危ないと感じた更紗は亮に黙って引っ越しをする。ちょうど文が住んでいたマンション、しかも文の隣の部屋に引っ越した。更紗は文とどうこうなりたいというわけではなかった。恋人になりたいわけでもない。ただ近くにいたい。文の近くだと自分が自分でいられる。

やっと平穏が訪れたと思いきや、亮に引越し先を突き止められてしまう。挙げ句の果てには、バイト先の先輩の子供を預かっている時に、子供が熱を出し、病院に付き添ってくれた文を、週刊誌に見つかった。15年前の誘拐犯と被害者の驚くべき関係として記事は面白おかしく書かれていた。

週刊誌にリークしたのは亮の仕業だと思った更紗は亮に問い詰める。そして口論の末、亮は誤って階段から落ちてしまう。亮が更紗に突き落とされたと警察に話したことで、更紗の身辺調査が入り、15年前に誘拐された家内更紗と特定され、さらにはその病院に付き添った文があの誘拐犯ということがわかり、文も警察に連行される。

結:2人の未来

事件性はないとして2人は釈放されたが、更紗は結局今のバイトを辞めることになり、文もカフェを閉業した。文は更紗になぜ自分が小児性愛症なのか打ち明ける。文の心の深い闇を知った更紗は文をそっと抱きしめ、2人で一生に生きていこうと決意した。

九州に引っ越し、2人で小さなカフェを経営している。もし今の場所がダメになったら次はどこに行こうか、その言葉はどこか希望に溢れたように聞こえた。

感想1 報道された情報が必ずしも真実だとは限らない。

悲しいことに誘拐事件や殺人事件が報道されることがある今日この頃。テレビやメディアで事件が取り上げられ、報道されるが、それが果たして真実なのだろうかと私たち読者に問いかけている。

更紗が8歳のころ、当時大学生だった文に誘拐されたと報道された。文は小児性愛症、いわゆるロリコンで更紗に可愛い服を買って着せていた、夜に更紗の叫び声がした(それを無理やり少女を犯していると捉えられた)。

でも真実は更紗が叔母の家にいるのが嫌になって、どこかに逃げたくて、でもどこにも逃げ場がなかった時に公園で出会った文に家に来ないか誘われた。更紗は文に自分がサイトで見つけた服を買ってもらった、夜に2人で映画を観て、その時今まで誰にも打ち明けられなかった更紗の秘密を文にいって号泣した。更紗は叔母の家にいる時より文といる方が居心地が良く、伸び伸びしていた。いつまでもこの生活が続けばいいと思っていた。

周りからは大変な目に遭ったねといつまでも哀れみの目で見られる更紗。自分は可哀想な女の子のレッテルを貼られたまま生きていくことが苦しくなる。

情報って、怖い。それが嘘か本当かなんてわからない。自分が目で見たことしか信じられなくなってくる。

感想2:亮の歪んだ愛情

彼氏の亮は物語冒頭から、ちょっと気になる言葉を放つ。亮の祖母に顔を見せに来いと言われたことに対し、その時は更紗も連れて行きたいという。でも結婚するにしてもまだ更紗の過去のことを親に話していないが、「ちゃんと説明したら許してくれるよ。」と言った。ん?なんで更紗が許されないといけないんだろう、更紗は何も悪いことしていないのに。しかも結婚の話を2人でしていないのに、いつの間に亮と結婚することが決まっているのだろうか。

どこかDV男予備軍を思わせる言動がしばしばあった。更紗がたくさんバイトをしてることに対して、たかがバイトなのにそんなに頑張らなくていいだの、バイト先まで電話をかけてきて更紗のシフトを確認する亮。

でもそんな亮も母親が父親のDVに遭っていた。おしゃれで綺麗な母親が自慢だった亮だったが、浮気で母親が出て行ってからは祖母に育てられた。祖母には母親の悪口を言われて育って、そういうのが全部混じってしまった。

物語後半にかけて亮の本性が見えてきて、怖かった。しかも更紗には逃げ場所がない。親はいない、頼れる友達もいない。そんな状況だと追い詰められるよね。

感想3:ハッピーエンディングではないが、2人が幸せそう

2人は結局職を失ってしまう。「誘拐犯」と「誘拐犯の被害者」としてのレッテルを貼り続けられる2人にとってどこに行っても白い目で見られてしまう。一体いつまで続くのだろうか。

でも2人は転々としながら生活していて、別に未来に絶望してるわけでもない。更紗はむしろ次はどこに行こうかとワクワクしてる様子に希望を持てた。この2人ならきっと大丈夫だと。

おわりに

いかがだったでしょうか?映画化もされた「流浪の月」私はまだ映画版を見ていないけど、広瀬すずちゃん、松坂桃李さん主演なので、見てみたい!映画と原作両方読んだ・見た方はぜひ感想を教えてください!では、また次の記事でお会いしましょう。

プロフィール
ななとま

ブログ運営者のななとまです。
語学学校に1年間通ってから正規留学でサンフランシスコ州立大学に留学経験あり。留学に役立つ情報などを発信できればと思います。

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